林恭子は2007年、多摩美術大学造形表現学部日本画専攻を卒業以来、国内外で個展やアートフェアなど中心に作品を発表してきました。
淡くカラフルな作品を水彩絵の具と岩絵の具で制作し、繊細な色彩感覚で日常の中で感じるさまざまな風景を描いています。
作品を見ると、軽やかな光と風が巻き起こり、春夏秋冬の温度や湿度まで肌に感じられるようです。
どんな部屋にもぴったりと合う絶妙なカラーリング。壁にかけると、生花を飾ったかのような瑞々しさとぬくもりを空間に与えてくれます。
林恭子 Kyoko Hayashi |
ドローイングから線や色を拾い、一発勝負で描く
林恭子は、花や草木の姿をドローイングで写し取り、その曲線の感触を手で記憶して、真っ白い布に一発勝負で描きます。
計算し尽された余白の残し方、筆の勢い。
入念なドローイングによる下準備をした上で、いざ本番、描く時に一筆一筆の配置を決めていきます。
筆の一塗りは、一度でも失敗すれば作品全体に大きく影響を及ぼし、リカバリーはできないといいます。
偶然性をコントロールしようと試みる、まるで書道のような一筆入魂の作品は、林の繊細な感覚によって作られているのです。
「Summer perfume」24.2 x33.3 cm, 木製パネルに布張り/岩絵具
「Bansyu」53 x 45.5 cm, パネルに布、岩絵具、水彩絵の具
「Rikka」72.7 x 91 cm, パネルに布、岩絵具、水彩絵の具
独自のセンスで、日記のように描く絵
梅雨の雨に、夏の香りが少し混ざる瞬間。
秋の訪れを知らせる、金木犀が香る空気。
林恭子が捉えるのは、ふと立ち止まった時に感じられる、折々の季節や空気感の変化です。
日本画の画材である岩絵の具を用いた美しい色合いは、ぬくもりを感じさせます。
「日記を描くように絵を描いている」というその作品は、いつ見てもその瞬間の感覚を鮮やかに呼び起こします。
「Akisuzu II」33.3 x 53 cm, パネルに布、岩絵具、水彩絵の具
「Cloud flow」23×23 cm, 木製パネルに布張り/岩絵具
「Transition S/A」38.5×61 cm, 木製パネルに布張り/岩絵具
大切な誰かへの贈り物に 「Bouquet」シリーズ
実際に花を選び、ブーケを作って描かれるという「Bouquet」シリーズ。
丸いキャンバスにほころぶ花が生き生きと描かれ、まるで瑞々しい花束のよう。
「花の一番美しい時の香りや色を絵に写しとり、枯れないBouquetを描きたい」という林は
絵を見た人が華やかな気持ちになるように願い、制作しています。
大切な人への贈り物に、記念日のプレゼントに、是非心のこもったブーケを届けてみてはいかがでしょうか。
「Bouquet」27.5×27.5 cm, 木製パネルに布張り/岩絵具
「Bouquet」27.5×22 cm, 木製パネルに布張り/岩絵具
林恭子 Kyoko Hayashi |